自動車の解体業を始めるための手続きとは~自動車解体業の許可申請~
- Sachiko Fukushima
- 2023年6月8日
- 読了時間: 6分
更新日:2023年9月23日
自動車解体工事で開業したい人のための、自動車解体業許可申請についての方法
自動車解体工事で開業したい人のための、自動車解体業許可申請についての方法について解説します。
使用済みの自動車(中古の自動車ですね)を解体するという仕事です。部品や材料、その他の有用なものを分離するのが自動車解体です。使用済自動車というのは、その自動車としての役目を終えたもの…ということです。
使用済みになる前の自動車の最後の所有者は、リサイクル料金を支払い、自治体に登録された「引取業者」へ車を渡します。引取業者がその自動車をフロン回収業者や解体業者に渡し、解体業者がその自動車を解体し、エアバッグ類を回収し自動車メーカー等に引き渡します。
最後に破砕業者がプレス等を行い、自動車メーカー等に渡します。中にはリサイクルされたりするものもあります。

自動車の解体業と法律~自動車リサイクル法~
使用済みの自動車の処理については、自動車リサイクル法「正式名称:使用済み自動車の再資源化等に関する法律」で定められています。
日本では自動車の保有台数が年々増えています。令和1年度では約7800万台(参照:(一財)自動車検査登録情報協会データより)使用済み自動車の発生台数は、令和1年度は約330万台となっています。
自動車の保有台数、そしてその自動車を廃止した時に処分場等が不足していったことなどが要因で、使わなくなった自動車の不法投棄などが増えてきました。
自動車のエアコンにはフロンが使用されていて、フロンを適正に回収しないと環境破壊などにつながることもあります。またエアバッグについても適正に回収するためには専門技術が必要であったりと、使わなくなった自動車を処理する工程が様々あり、またその処理には知識が必要で、そのために自動車リサイクル法「正式名称:使用済み自動車の再資源化等に関する法律」でルールを定めることになりました。

自動車解体業許可が必要な場合とは
まず、自動車リサイクル法の対象になっている自動車は以下のものです。
普通の乗用自動車、軽自動車
トラックやバスなどの大型車
特殊車両(8ナンバーなど) などです。
逆に対象外になるのが
被けん引車
二輪車(原動機付自転車、側車付きのものも含む)
大型特殊自動車、小型特殊自動車
その他農業機械、林業機械、スノーモービル などです。
対象になるものを解体する仕事をする時には解体業の許可が必要なのですが、そもそもの「解体の定義」は
使わなくなった車は、まず「廃車」という手続きを行います。廃車の手続きをしなければ、仮にその車をずっと使わなくても税金がかかってきます。
廃車の手続きは、単に書類だけの手続きになるので、廃車をするだけでは自動車を解体することにはなりません。
解体するということは、使わなくなった車を廃車にした後、解体業者が引き取り、部品等を外してバラバラにして、最終的にはプレスになります。部品等の中にはリサイクルされたり、海外へ輸出したりすることもあります。
解体関連の事業としては、フロン回収、使わなくなった自動車の引き取り、破砕(プレス)、エアバッグの処理(車上作動処理:車についたまま処理して回収するもの)などがあり、それぞれに手続きが必要です。また中古部品などを解体後に輸出したりする場合には、「古物商許可申請」が必要になります。
海外では日本車の中古車や部品は人気があり、日本では廃車にするような年式や走行距離でもまだまだ現役で使用することが多いようです。

許可取得までの流れ
それでは自動車解体業の許可取得までの流れを見てみましょう。
ご相談
↓
物件が確定してない場合は、物件の確定
物件を探すための情報提供(農地、市街化調整区域等に関する情報)
↓
大まかな計画案の検討
↓
行政への事前相談
↓
書類作成
↓
申請
↓
許可
というような流れになります。
書類を出したものの不許可、というようなことにならないように、適宜行政側と相談しながら、確実に計画を進めていきます。
事業をするための物件が決まってない、という方については、懇意の不動産屋さんと連携して物件探しからのサポートいたします。
物件の条件によっては、農地法など他の許認可が関わってくる可能性もありますので、許可までの実際のプロセスについてのスケジュールなども確認してから進めます。
安心してご相談ください!
許可の基準 1 施設について
自動車解体業の許可においては、まず事業を確実に遂行できるための「施設」が必要になります。施設については次の5つの目的のための施設が必要になります。施設とはいっても、全てにおいて建物などを作ることが必要だという意味ではなく、その目的として使用できるための適切な条件を備えた場所が必要、ということです。
1 使用済の自動車を解体するまでの間保管するための場所
2 燃料を抜き取る場所
3 解体作業場所
4 取り外した部品を保管する場所
5 解体した自動車を保管するための場所
上記のような場所が必要になります。それぞれに適した条件があります。

許可の基準 2 能力について
自動車解体業については、特に資格をとったり、実務経験の証明が必要ということはありませんが、下記のことについて記載された「標準作業書」を常備し、従業員に周知していることが条件になります。
※標準作業書の内容について
使用済み自動車及び解体自動車の保管の方法
廃油、廃液の抜き取り、外部への流出防止及び保管の方法
解体の方法(指定回収物及び再資源化基準に基づき回収すべき物品の回収方法を含む)
油水分離装置、ため桝の管理の方法(このような装置を設置する場合は必要)
解体に伴い発生する廃棄物の処理の方法
取り外した部品等の保管の方法
使用済み自動車及び解体自動車の運搬の方法
解体業のために使う施設の保守・点検
火災予防のための措置
などです。標準計画書の作成についてもサポートしています。解体作業のための施設をこれから作る場合は、必要な設備が抜けないように、作業動線が効率的になるように、計画を立てていきましょう。
また、収支計画や事業計画において、自動車の解体事業が維持継続して行えるような計画になっていることが必要です。

許可の基準 3 人的要件
「欠格事由」に該当してないことも、許可の要件となります。
「欠格事由」というのは、「要求されている資格や条件を欠いている」ことです。
下記のような条件の人が役員だったりする場合は、自動車解体業の許可がおりません。どのような業種の許可申請でも同様のことが言えます。
1 認知症等になり、物事の判断ができない。成年後見人や保佐人がついている
または破産していて復権してない人
2 犯罪をおかしてから5年を経過してない人
3 自動車解体業の許可を取り消されてから、5年を経過してない人
4 暴力団員である、また過去に暴力団員であり5年を経過してない人

許可をとった後の注意点
※許可の期限管理
まず、許可には5年という有効期限があります。期限が切れることがないように、期限の管理をしっかりと行い、期限切れになる前に更新の申請をしてください。
※変更があった時には届け出ること
例えば、下記のような内容に変更があった時は、30日以内に所定の様式にて変更の届け出が必要とされています。
氏名や法人代表者
事業所の住所や名称
法人の役員
施設の内容(面積や保管料など)
その他の内容のことでも、変更が必要なケースがあります。ご注意ください。
※解体業者の標識
解体業者であることが分かる標識を、見やすい場所に設置してください。
※自動車リサイクルシステムへの登録
自動車リサイクルでは電子マニフェスト制度になっており、システムへの登録が必要です。システム登録については、当方でもサポート可能です。

当事務所の報酬や費用
| 報酬金額(消費税別) |
事前相談 ・条件調査 ・物件未定の方への情報提供 ・事前の役所への相談 ・物件の条件に合わせた計画検討 | 30,000円 |
申請書類作成 | 150,000円 |
標準作業書作成 | 100,000円 |
自動車リサイクルシステムへの登録 | 10,000円 |
このほかに申請手数料 78,000円(県証紙代)が必要になります。
添付の各種証明書等は実費となります。



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