稼いでいる個人事業主が法人化したくない2つの理由とは?
- Sachiko Fukushima
- 2022年4月5日
- 読了時間: 4分
更新日:2023年8月19日
実際に「法人化したくない」という方から、お話を聞いてみました。
①利益が出ても一定額しか自分の手元に入れられない
②事務的な仕事が増えそう
ということでした。

まず、②についてですが
社会保険への加入が必要だったり、決算処理などが煩雑になったりするのではないか…
ということでしたが、ある程度収益があるので、その辺の煩雑になる処理は税理士等に顧問をお願いすることで、解決することではあると思います。
↓
ではありますが、お金払って解決すべき問題が増えるのも嫌なようです。
そして、お話をお聞きした事業所様の大きなポイントは①の
【利益が出ても一定額しか自分の手元に入れられない】
ということでした。
確かに、法人化したら役員報酬ということで、基本的には一定額しか自分の手元に入らない
↓
個人だったら必要経費を払える分さえ残しておけば自分たちの自由にできる。
士業側としては売上が大きな事業所には法人化を勧める傾向にありますが、事業所側として法人化したくない…と感じるポイントもいくつかはありますよね。
法人化がその事業所にとっての正解でもないということですね。
収益や売り上げがある程度増えて、法人化した方がいいのかどうか迷われてる事業所の皆様は、一度ご相談いただいたらと思います。
個人事業では不要でも法人になるとしなくてはいけないこと
①赤字でも年間8万円ほどの税金の支払いが発生する
個人事業の時は、売上額から経費を引いた残りが所得として自分の手元に残る、そこに所得税という税金がかかる仕組みになっていました。だから売上額から経費を引いた額がマイナスになった時には、所得税の支払いは不要でした。
でも法人になると、法人税の他に、法人市町村県民税というのがかかることになります。均等割りというのがあり、小さな赤字の会社でもこの均等割り分が高知県だと年間だいたい8万円の金額になります。
法人になると、赤字になっても、最低限この年間8万円の税金の支払いが発生します。
②社会保険への加入
個人事業だと事業主は社会保険へ加入はできませんでした。法人になると、たとえ代表者一人の会社でも社会保険への加入が必須になります。
お給料の計算をするときに、社会保険分を会社で預かって、会社から社会保険料の支払いをするという構図になります。多少の事務が発生します。社労士さんに助けてもらいましょう。
③社長一人でも年末調整が必要
個人事業だと事業主一人で仕事をしている場合には、従業員に対してお給料を払うという事務がないため、年末調整は不要でした。法人になると、たとえ代表者一人しか構成員がいなくても、この代表者の年末調整が必要です。
法人の代表者は、役員報酬という形で基本的には毎月定額をいただくという仕組みになっています。個人事業だと、手元に残ったキャッシュが自分の取り分、という感じでしたね。
法人になると、たとえキャッシュがたくさん残っていても、会社のお金は会社のお金であって、社長個人が自由にできません。社長も会社から役員報酬という形で、毎月定額の報酬をもらうという構図になります。
毎月の報酬から源泉税などを引いて役員報酬をもらうので、年に一度年末調整が必要になります。税理士さんに助けてもらいましょう。
④定期総会の開催
社長一人、社長プラス奥様という構成の会社、これで株主総会を開催、というのもなんか変のシチュエーションですが、法律上はどんな構成の会社でも、年に一度決算終了後に定期総会(株主総会、あるいは社員総会)の開催が義務付けられています。
この総会で何をするかというと、決算の承認、役員の改選、役員報酬の変更の承認…などです。
同じ株主の奥様に内緒で、勝手に社長の役員報酬をあげる…なんてことをしてはいけません。
株主総会や社員総会を行った後に、議事録を作成して署名しておきましょう。

いかがですか?
法人化すると、個人事業時代にはしなくてもよかったのに…という面倒な事務も発生します。法人化すると、次に個人事業に戻るのはなかなか大変なので、法人化のメリットデメリットのポイントをしっかりと理解したうえで検討してください。



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